stop-judgment

停止判断

いつ止めるかを決める行為。ループを回す技術の中心にあるのはプロンプトでもアクションでもなく、この判断である(ループエンジニアリング)。

二層構造

Stop条件にはルール層とこだわり層がある。

ルール層は外から検証できる。テストが通る、安全チェックを通過する、接続先が3件以上ある——いずれも機械が判定でき、第三者が再現できる。ルール層だけでは「正しいが凡庸」で止まる。

こだわり層は本人にしか判定できない。これが作品に性格を与える。ルール層が床(最低基準)を定め、こだわり層が天井(ここまで行けば止めてよい)を定める。

こだわり層のStop条件は自動化できない。自動化できないからこそ判断する能力が要る。判断を放棄して「ルールが通ったから完成」とすれば、それは認知的降伏の一形態になる。

概念の自立テスト

こだわり層のStop条件の一例。

ある概念を理解するために原典を掘り、文脈を学び、使えるようになったとする。しかしノートに固定する段階で、提喩(シネクドキ)を使って概念を丸める——権威の名前を外し、特定の文脈を薄め、概念が一般化した道具として自立するかを試す。

名前を外す動機は知的誠実さの問題ではない。名前付きの概念は読み手に認知的降伏を誘う。権威に頼って「知ったつもり」になるか、知らない名前に気後れして概念との接触を避けるか。どちらも概念が機能していない。

自立テストの手順:名前を薄める → まだ使えるか検証する。注意すべきは、名前を消す行為がStop条件なのではなく、消した後に概念がまだ機能するかを確かめる判定の瞬間がStop条件だということ。消しただけで完成とするのは、こだわり層をルール層に格下げしている。

ただし、すべての概念が同じ処理を要するわけではない。「情報環」のように、原語からの翻訳の過程で既に提喩が済んでいる概念もある。丸める必要があるかどうかは、名前が「この人が言ったから正しい」という権威の回路を作るかどうかで判断する。

ロングゲームとの接続

こだわり層のStop条件を持つには、自分が何を大事にしているかを知っている必要がある。これはロングゲームと第2象限の問いと同じ構造で、ロングゲームのコンセプトがなければ第2象限が埋まらないように、こだわりがなければ「いつ止めるか」が外部基準だけで決まる。AIのトレードオフ三角が示すように、持ち時間とコストは有限であり、有限の中で何を妥協し何を譲らないかの判断が停止判断の核心にある。