legibility
レジビリティ
国家や管理者が対象を「読める」ようにすること。複雑で土着的な現実を、標準化された区分に変換して把握可能にする行為を指す。
議論の骨格は3つの柱からなる。第一にレジビリティ(国家が社会を読めるようにする営み)、第二にハイ・モダニズム(技術的合理性を至上とし、壮大な計画で世界を整えようとする思想)、第三にメーティス(経験から育つ実践知、暗黙知)。国家がレジビリティを追求してハイ・モダニズムの設計を押しつけると、メーティスが破壊され、計画は失敗する。科学的林業、都市計画、集団農業などがその例。
整理することは必ず何かを捨てることでもある。地図は領土ではない。森を「材木の立方メートル」として読めば管理はできるが、森の生態系は見えなくなる。このトレードオフは複雑性は敵ではない、混沌が敵と地続きで、混沌を嫌って簡素化しすぎると複雑性そのものが失われる。
AIの文脈では、CLAUDE.md やプロンプトテンプレートは「AIに世界を読ませる」ためのレジビリティ装置であり、認知的降伏(判断をAIに委ねること)のインフラでもある。ライブラリアン問題も、知識を検索可能にする行為がレジビリティの一形態。整理によって何が見えなくなっているかを問う視点が要る。